【映画】八日目の蝉 新作映画批評 ネタバレあり 永作博美の演技、ここに極まれり。

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ゴールデンウィークがスタートした4月29日(金曜)から公開が始まった映画『八日目の蝉』。ユナイテッドシネマではクラブスパイス会員割引で、1000円にて観賞ができるため、妻を連れて観てきました。例年この時期には大作映画が一斉に封切られるのですが、今年は震災の影響で軒並み公開が延期されてしまったため、観たい映画が少なく残念。そんな寂しい映画事情の中で、この映画は興味を惹かれぜひとも観たいと思っていた。

僕らは、ホームグラウンドとしている劇場 ユナイテッドシネマ上里の2番スクリーンで観賞。公開初日とクラブスパイス会員割引日が重なり、女性同士や年配カップル客中心に席は7割埋まっていた。原作未読、先行したテレビドラマも未見。あらすじと予告トレーラーを見た程度の予備知識で挑む批評。



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映画『八日目の蝉』の感想。最初こそ日本映画で話題となった『告白』や『悪人』の系譜に属する犯罪を扱った作品かと思っていたが、中盤から後半にかけては趣が異なり、最後は感極まってほろりと涙。

オープニングで松竹に続き日活の企業マークが出てから、映画ははじまっているはずなのに画面が真っ暗。遅れてぶつぶつとセリフを呟く登場人物(秋山恵津子>>>野々宮 希和子)が交互にシルエットで浮かびあがり、緊張の高まる演出。画面が一転すると、登場人物たちが法廷で証言していたんだ、とわかる冒頭の掴みは秀逸。

秋山恵津子の娘 恵理菜を誘拐する問題の場面へ。自分をもて遊んだ男 秋山丈博の妻 恵津子には赤ちゃんが生まれ、雨の日にひと目見て帰るつもりだったが、無邪気に微笑む幼き恵理菜を目の前にして、衝動的に連れ去ってしまう。

動機が弱いと思ったりしたが、夫を寝とられた恵津子は妊娠したことをわざわざ報告に来てなじったり、希和子自身も子供に“恵”と名前をつけようとしていた過去などが語られ納得。たらしの駄目夫“秋山丈博”、ヒステリー気味の正妻“秋山恵津子”と幸薄い不倫相手“野々宮希和子”と愛憎渦巻く大人の関係を短い時間で説明していく展開は巧い。前半はサスペンス要素もあり、期待を裏切らない展開。気になったところは、友人宅を転々としたのち、ホテルで泣き叫ぶ恵に(出ない)おっぱいをあげる重要なシーン。永作博美は、おっぱいを出しておらず、ここはマイナスポイント。あそこは女優なら絶対に出しておくべき。勢いよく服のボタンをはずす場面があるだけに、このシーンのみカメラを避けているような不自然なカットになっていた。永作が大人の事情で出せないなら、顔を映さず代役でいいので、はだけた胸をアップで映すようなカットがインサートされていれば、もっと“女の業”を感じ、忘れえぬ名シーンになったと思う。

NHK朝ドラ ひまわりでの演技に評価が集まる井上真央が演じるのは、現在の21歳になった秋山恵理菜。映画では逃避行を続ける野々宮希和子と幼き恵(秋山恵理菜)の4年間を軸にしているが、それは同時に失われた幼年期の記憶をたどる“自分探しの旅”にもなる多重構造描写となっている。

不倫関係にある男性(お笑い芸人劇団ひとりが演じる岸田)の子供を身ごもった秋山恵理菜にも命の選択を迫り、希和子が置かれた境遇をなぞっているが、ラストシーンにおいては母親代わりの希和子とは別の選択をさせて対比させている。

不倫関係にあり井上とのキスシーンもある劇団ひとり、エンジェルホーム時代の幼馴染を演じる小池栄子など脇を固める一癖ある人物たちも、物語が進むにつれ人間的な魅力が増していく。特に小池栄子は鼻にかかるしゃべり方が気になり、映画 20世紀少年の時と同じかよと思っていたら、幼少期の影響で異性が愛せないほど心に傷を持ち、妊娠した恵理菜を励まし支える重要な人物となっていく。失礼ながら小池栄子の演技で胸を熱くさせられるとおもっていなかったので吃驚。

逆に、中盤のエンジェルホームを回想する展開が説明不足だし分かりづらい。あれだけ馴染んでいたのにホームを逃げ出す展開は唐突すぎる感じだ。この映画、人物を俯瞰でとらえている描写が多かったり、心情風景っぽい描写がインサートされたり、カメラワークに特徴があり、ある意味 上映時間が作品の内容と関係なく、長すぎね?って思ったのも事実。

しかし、ホームを逃げ出した後で、暗い夜道を星を見上げながら恵に歌って聞かせる歌は、正妻の恵津子が夜寝かしつける際に歌えなかった“星の歌”。それは、故 坂本九の代表曲 見上げてごらん夜の星を、だった。残酷ともいえる伏線を回収していて、この映画屈指の名シーンに仕上がっている。



小豆島に逃げのびて以降、終盤は完全に違った作品の印象を与える。誘拐事件そのものは許されない行為であるが、おびえながらも美しい島の景色に囲まれ、温かい島人に触れて暮らす希和子と恵には幸せになってほしいと観客みんなが思ったはず。一緒に過ごした時間は4年間だが、実の母親以上に愛情を恵に捧げた希和子。田舎で幸せに暮らすふたりを見ていると、現在の歪んだ親子関係に置かれている恵理菜がわかっているだけに、せつなさ倍増。

だから、祭りの写真が全国紙に掲載され、島を離れる際に動物園に連れていくからと嘘を言う寂しげな希和子は母親であるし、警察に連行される希和子にむかって『お母さん!!』と叫ぶ恵は娘であった。だからラストシーンで出てくる最後にふたりで撮った記念写真の場面は涙なくして見れない。

永作博美、井上真央 ふたり共に演技が上手く、複数の子役たちも表情やセリフなど芝居がかっておらず、自然に演技して作品の質を上げている。邦画としては、冷たい熱帯魚までのインパクトはないが、完成度は高く必見の一本。おすすめ。



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コメント
この記事へのコメント
恵でなく薫ですよね?ここ間違えると残念なのですが・・。
2012/06/24(日) 19:34 | URL | momokan #-[ 編集]
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