【映画】『高地戦』 新作映画批評 ネタバレあり 戦場のワニになれ!サスペンス調の戦争大作

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고지전, 묵언수행 '김옥빈'..

先日発表になった年末のNHK紅白歌合戦の出場者名簿には韓国人歌手が1組も選出されることはなかった。エンタメを語る個人的な意見を言えば、CDセルースから考えてみても彼ら彼女らは選ばれて当然だと思うが、最近の悪化する国際情勢を考えれば選出したくてもできなかったのが本音だろう。もっと言ってしまえば、亜細亜を取り巻くフォースのパワーバランスが崩れていることにより、この映画の公開規模にも少なからず影響を与えているとしか思えない。

さて、前置きはほどほどにして映画の感想行きましょう。群馬でもやっと公開された韓国映画『高地戦』観てきました。前評判通り戦争映画の古き良きエッセンスを踏襲しつつ重圧な物語が展開され、非常に見ごたえがあるドラマに仕上がっていました。

物語は簡単に言うと、朝鮮戦争末期が舞台。境界線を巡り南北間の停戦協定が紛糾し長期化する中で、東部戦線の要となるエロック高地を巡り両軍が熾烈な陣地の奪い合いを繰り返す、という内容。

戦場描写は、スティーブン・スピルバーグ監督作の『プライベート・ライアン』以降の戦争大作や近年だとクリント・イーストウッド監督作『硫黄島からの手紙』などに代表される臨場感溢れるカメラワークを踏襲しており、阿鼻叫喚が飛び交う熾烈な戦争描写はそれらの作品と肩を並べる大迫力。味方から機銃を向けられ、援護の空爆は味方を巻き込み、両軍が命を掛けて死守する最前線では死体が無数に積み上がる地獄絵図となっている。

前半から推進力高く、朝鮮人民軍と繋がっている内通者は誰か?というサスペンスタッチの緊張感で観客を前のめりにさせておいてから、中盤で登場する美少女。そして、“2秒”と異名がつけられた謎のスナイパー(狙撃手)の意外な正体、終盤での友の死、残された12時間を巡るワニ中隊最後の総力戦など見ごたえ多く、観終わってどっと疲れが出てしまうほどドラマが良くできていた。

ミニシアターでかかる映画なので正直舐めていた。映画は思いっきり戦争大作志向だし、悲惨極まる戦場の過酷さにジリジリと心が締めつけられる緊張感を味わった。1950年代はまだ東西冷戦時代でソ連の後ろ盾がある朝鮮人民軍(韓国映画の中で、北朝鮮兵をアカ野郎と罵倒する台詞がでてきますが、これはソ連時代の共産主義をあらわす旗印が赤で、北朝鮮は共産主義側についたことに由来)。

戦場群像劇なので、お酒が好きな奴とか影のある大尉とか少年兵とか敵味方あわせて相当数のキャラクターが出てくるが、それぞれのキャラクターにきちんと役回りが与えられている上に、役者のキャスティングが絶妙。登場人物たちは、過去の戦争で受けた根深い心の傷を背負って生きている。とくに主人公ウンピョ中尉が内通者を探る使命を帯びて赴任するワニ中隊には戦場で生き別れた昔の友キム・スヒョク中尉がいたり、中盤で明かされる驚愕の事実(味方の兵士に銃を向けてまで生き延びたという逃れられない汚点を隠していたり)、ドラマとして盛り上がる要素満載で楽しませてくれる。

戦争の代償として精神がおかしくなった仲間の兵士が若いシン・イリョン大尉に銃を発砲しけがを負わせるシーンがある。幸い致命傷にならず包帯巻かれた大尉の姿が出てくるが、そこでウンピョが話す台詞は映画の冒頭で示されていたが大尉がモルヒネ常習者で怪我しても痛みを感じない状態であるという内容。なぜそうなったのか?過去の戦闘で隊を守るために自ら第二小隊を犠牲にした過去を背負っているから。深いし、戦争辛いし嫌だと思わせてくれるに充分。駄目押しで、スヒョクが死んでからモルヒネを打とうとするウンピョに止められ諭される場面の伏線回収に繋がっている。構成が巧い。この2度、3度小道具や状況を使うという流れはいろいろあったと思う。モルヒネ以外にも、メガネ、写真、酒、タバコの箱、チョコレートなどなど、映画の中で効果的に何度も使われていた。

中盤で登場する謎の美少女が北朝鮮の少女兵士で、南でも恐れられる凄腕の狙撃手という展開はあとから考えるとやりすぎな感じがしたが、戦争と言う非日常ドラマとしては十分機能していたし、野郎ばかりの血なまぐさいドラマなので、ここは新鮮に映った。最後ウンピョが手にかけてしまうが、彼女にもいろいろな映画で描かれていないドラマがあるんだなというのを“あの写真”が説明してくれているし。

内通の方法を語るネタばらしシーンで出てくるウンコには笑った。戦友のスヒョクが狙撃されるシーンは妻は泣いたといていったし、僕はあそこの次に出てくる終戦協定調印で終わると思ってたが、まさかの12時間後の締結という事実。吃驚。最後の消耗戦は手がちぎれ、足は吹き飛ばされ、少年だろうが少女だろうが殺されるという現実。心底、戦争の底知れぬ怖さに座席に沈み込むようにして観て震撼した。また唱歌がキーワードになっており(覚えたのは内通によってだが)、命をかけた最後の決戦を前に両国の兵士が合掌する姿は、もとはひとつの国の人々が運命に翻弄され戦場で殺し合っているという矛盾とむごさを描いていて涙を誘う。とにかく、こころにずしりと響く傑作。一度観賞すべし。
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2015/01/18(日) 07:40 | | #[ 編集]
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