【文学/小説】『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ著 文春文庫刊 ミスリードと伏線に迷わず真相に到達できるか

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2013年は“本”をしっかり読める大人になりたくて文庫本を数冊購入。年末暇だったのでネットで話題の小説を幾つかピックアップ。

キャッキャッした青春小説かと普通に読み進めていくとラスト2行で驚愕の事実が判明し女性のことが心底恐ろしくなると話題の乾くるみ著の『イニシエーション・ラブ』を読んでみた。

イニシエーション・ラブ (文春文庫)イニシエーション・ラブ (文春文庫)
(2007/04)
乾 くるみ

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この小説を中途半端な気持ちで読み進んでいると真相分からずに読み終わってしまう。1章は大学生の青春小説の様相を呈していて、2章になると社会人と遠距離恋愛になり主人公の性格が荒っぽくなるなぁ・・・と思うぐらいにしか感じないと思う。正直、僕も長らく読書体験から遠ざかっていて、数日に分けて読み進めたので一読しただけではピンと来なかった。そういう人も多いと思う。

ただ、みんなが話題にしているんだから何かあるはずだと思って、問題の最後の2行を含む前の方を読み返しながら、『あれっ、主人公の名前・・・』と気づいて、また前の方を読み返して確認してしまった。
タイトルのイニシエーション・ラブのイニシエーションと言うのは物語の中でも語られているが愛の通過儀礼という意味。一見すると男女の心変わりの様を80年代後半の時代背景や流行を盛り込んで描いた恋愛小説。しかし、この小説はそんな物語じゃない。

まず小説全体は前半と後半でタッチが変わる2章構成なのだが、時間軸をずらし読者をミスリードさせる巧妙な叙述トリックが仕掛けられている。そして物語の中で登場人物の表記(呼称)が変化していることや章を跨いだあるアイテムを用いた伏線に気づけるかが、大きな読書ポイント。物語の構成がわかった上で、もう一度再読すると真の物語が浮かび上がる恐ろしい恋愛ミステリー小説に変貌。結末言うとつまらなくなっちゃいますので未読の人は絶対に小説を読んでからここから先は読んでください。

この小説は2章になっており、それぞれカセットテープに引っかけたsideAとsideBと名付けられている。順番に読むと大学4年生から社会人1年生に主人公“たっくん”の置かれた設定が変わり地続きの物語としても読めるのですが、それは明らかに読者のミスリードを狙ったもの。

実は2つの章は同じ時間軸を描いた作品。実は時間の流れはsideBが夕樹とマユが合コンで出会う前から始まっており、途中でsideAの物語が合わせ鏡のように絡んできて表裏一体の物語が紡がれていく。sideAはマユと夕樹(たっくん)の物語。sideBはマユと辰也(たっくん)と美弥子の物語。つまり、最後の2行に出てくる「辰也」という名前の表記に気づければsideAとsideBに出てくる主人公のあだ名“たっくん”という呼称は実は同一人物ではなくそれぞれ別人につけられたもので、2章に共通する本来の裏の主人公はマユであることが分かるはず。

静岡にいて二股交際をしていたのは実は両方の“たっくん”の彼女であった繭子。巧妙すぎる叙述トリックにまんまと騙されました。可愛い女の子に描かれているので、まさかと思いました。sideBで辰也に脱胎させられるは最終的に捨てられるはで、キャラクターに救いなく酷い扱いだと思っていましたが、彼女こそがこの物語の裏の主役を握っていたとは!!!吃驚。頭を冷やして少し時間をおいて再読したい。
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2013/01/19(土) 22:15 | | #[ 編集]
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